瀬戸内海に面し、穏やかな海と多くの島々に恵まれた広島県。海の幸や島の果物を育む、温暖な気候が特徴です。
養殖の収獲量が全国1位のかきから、世界遺産の厳島神社まで。広島を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
広島県の名産
かき
養殖の収獲量は全国1位。広島湾の筏で育つ冬の味覚
広島県は、かきの養殖の収獲量が全国1位で、全国の過半数を占めます(農林水産省の資料、2024年)。主な産地は、広島市、廿日市市、江田島市、呉市などの広島湾沿岸です。
広島湾でのかき養殖には、室町時代の終わりごろから450年以上の歴史があるといわれます。大正時代の終わりには、筏からかきをつるして育てる方法が試され、今の大規模な養殖につながりました。
水揚げは10月に解禁され、春にかけてがシーズン。焼きがきやかきフライのほか、広島発祥とされる土手鍋や、炊き込みご飯も定番です。
生で食べられるのは、決められた海域で育った「生食用」だけ。加熱用のかきは、中心までしっかり火を通しましょう。お取り寄せのときは、どちらなのかを確かめて選ぶのが大切です。
広島のお好み焼き
生地にキャベツとそばを重ねて焼く、広島流のお好み焼き
広島のお好み焼きは、薄くのばした生地の上に、キャベツやもやし、ねぎなどをたっぷりのせて蒸し焼きにし、焼いたそばや卵を重ねて仕上げる、重ね焼きのスタイル。ソースと青のりで味わいます。
ルーツは「一銭洋食」とされます。戦後、焼け野原となった広島の街で、配給の小麦粉を使った屋台のお好み焼きが広まり、昭和40年ごろには屋台が集まった「お好み村」ができました。
そばを入れるようになったのは、おなかを満たすためだったともいわれます(諸説あり)。地元では、鉄板の上で小さなヘラを使って切り分け、そのまま食べるのが流儀です。
お取り寄せの冷凍お好み焼きなら、フライパンやホットプレートで温めるだけで、手軽に広島の味を楽しめます。
レモン
収穫量全国1位。瀬戸内の島々で育つ、皮まで使えるレモン
広島県はレモンの収穫量が全国1位(農林水産省の資料、2023年産)で、全国の過半数を占めます。呉市や尾道市、大崎上島町など、瀬戸内海の島々が主な産地です。
1898年、今の呉市豊町大長で、ほかの苗木に混じっていたレモンの苗木3本を試しに植えたのが始まりとされます。1953年には、全国一の産地になりました。
7月のハウスレモンに始まり、10〜11月は青いグリーンレモン、年末から5月ごろは黄色いイエローレモンと、ほぼ一年中出荷されています。
広島県では、皮まで食べられるレモンとして紹介しています。薄く切ってはちみつ漬けにしたり、皮をすりおろして料理の香りづけに使ったりと、まるごと楽しめます。
広島県の名所
厳島神社
海に浮かぶ朱塗りの社殿と大鳥居。宮島に建つ世界遺産
厳島神社は、日本三景のひとつ・宮島に建つ神社。593年に創建されたとされ、平清盛が1168年ごろに、海の上に建つ今の社殿を整えたといわれます。1996年に世界遺産に登録され、本社などは国宝です。
海の中に立つ大鳥居は高さ16m、重さ約60t。柱は海底に埋められておらず、自らの重みで立っています。今の鳥居は1875年に再建されたものです。
潮が満ちると社殿と大鳥居が海に浮かんで見え、引くと鳥居の足もとまで歩いて行けます。見たい景色に合わせて、出かける前に潮の満ち引きの時刻を確かめておきましょう。
船で宮島に渡るときは、廿日市市の「宮島訪問税」がかかります。宮島には野生の鹿もいるので、食べ物をあげないようにしましょう。
原爆ドーム
被爆の惨状を今に伝える建物。核兵器のない世界を願う世界遺産
原爆ドームは、1915年に広島県物産陳列館として建てられた建物。チェコの建築家ヤン・レツルが設計しました。1945年8月6日、原子爆弾は建物の南東約160m、高さ約600mの上空で炸裂し、建物は骨組みを残して焼け落ちました。
被爆の惨状を伝え、核兵器の廃絶と平和を願う象徴として、1996年に世界遺産に登録されました。保存のための工事も、これまでに何度も行われています。
ドームの中には入れず、外から見学します。川を挟んだ平和記念公園には、原爆死没者慰霊碑や広島平和記念資料館があり、あわせて訪ねると、被爆の実相をより深く知ることができます。
平和記念資料館は日中とても混み合うので、朝早い時間や夕方の見学がおすすめ。Webで入館の予約ができます。静かな気持ちで見学しましょう。
尾道
坂道と路地、寺が連なる港町。千光寺から尾道水道を一望
尾道は、瀬戸内海の尾道水道に面した港町。山の斜面に寺や家々が建ち並び、細い坂道と路地が続く景色は、日本遺産「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」にも認定されています。
町を見下ろす千光寺は、806年に弘法大師が開いたと伝えられる寺。崖の上に張り出した朱塗りの本堂は「赤堂」とも呼ばれます。境内には、鼓岩や玉の岩など、大きな岩が点在しています。
山頂の千光寺公園の展望台からは、尾道の町並みと尾道水道、向かいの島々を見渡せます。春には「さくら名所100選」にも選ばれた桜が咲き誇ります。
山頂まではロープウェイで3分ほど。帰りは「文学のこみち」や坂道を歩いて下りながら、路地の風景を楽しむのがおすすめです。坂や階段が多いので、歩きやすい靴で出かけましょう。
原爆ドームへは広島駅から路面電車で、厳島神社へは宮島口からフェリーで、尾道へはJRで東へ向かえます。家で広島を味わうなら、冬はかき、レモンはほぼ一年中楽しめます。お好み焼きを焼いて、広島の味をそろえてみてください。
海に浮かぶ社と、平和を願う街、坂の上から眺める瀬戸内の海。広島は、心に残る景色に出会いに出かけたくなる土地です。