日本の首都・東京都。江戸時代に将軍のおひざもととして栄え、今も多くの人が暮らす大都市ですが、西部には高尾山などの豊かな自然も残っています。
江戸の町で生まれた江戸前ずしから、高さ634mの東京スカイツリーまで。東京を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
東京都の名産
江戸前ずし
江戸の屋台で広まったにぎりずし。ひと手間かけたネタが身上
にぎりずしは、江戸時代後期の江戸で、屋台の手軽な食べものとして広まったとされます。もとをたどると、魚を米と一緒に発酵させた「なれずし」に行き着き、早ずしや押しずしを経て、にぎりずしが生まれたといわれます。
江戸前ずしの特徴は、ネタに「仕事」をすること。コハダやサバを酢で締めたり、アナゴを煮たり、マグロをしょうゆに漬けて「ヅケ」にしたり、昆布で締めたりと、ひと手間かけてネタのうまみを引き出します。赤酢を使った酢飯も、江戸前ずしの特徴のひとつです。
江戸時代のすしは、今よりご飯の量がずっと多く、お腹を満たすための食べものでした。今では、ネタの味わいを楽しむ料理へと変わっています。
東京には、気軽な店から老舗まで、すし店が数多くあります。その日の旬のネタを聞いて、おすすめを握ってもらうのも楽しみのひとつです。
もんじゃ焼き
ゆるい生地を鉄板で焼き、小さなへらで焦がしながら食べる下町の味
もんじゃ焼きは、水でゆるく溶いた小麦粉の生地に具を混ぜ、鉄板で焼いて食べる料理。小麦粉の生地で鉄板に文字を書いて遊んだ「文字焼き」が、なまって「もんじゃ」になったといわれます(諸説あり)。
昭和20年代ごろは、駄菓子屋で子どもたちが食べるおやつでした。その後、キャベツや揚げ玉などの具が加わり、大人も楽しむ料理に変わっていきました。
本場として知られるのが、中央区の月島。月島駅を出てすぐの西仲通り商店街は「もんじゃストリート」と呼ばれ、もんじゃ焼きの店がずらりと並びます。
焼き方は、刻んだ具を炒めて輪の形の「土手」を作り、真ん中に生地を流し入れて、とろみがついたら全体を混ぜるのが基本。小さな「はがし」で鉄板に押しつけ、少し焦がしながら食べます。お取り寄せのもんじゃセットなら、家のホットプレートでも楽しめます。
佃煮
小魚や貝、のりを甘辛く煮詰めた保存食。佃島で生まれた江戸の味
佃煮は、小魚や小エビ、貝、のりなどを、しょうゆや砂糖で甘辛く煮詰めた食べもの。名前の由来は、東京・中央区の佃島です。
江戸時代のはじめ、徳川家康に招かれて、摂津国の佃村(今の大阪市)から漁師たちが江戸に移り住みました。漁師たちが住んだ島が佃島で、とれた小魚をしょうゆなどで煮付けたことで、長く保存できる食べものになったといわれます。
日持ちがよく持ち運びやすいことから、江戸を訪れた武士たちが土産として持ち帰り、全国に広まったともいわれます。
炊きたてのご飯にのせたり、おにぎりやお茶漬けの具にしたりするのが定番。少量でも味がしっかりしているので、贈り物にも喜ばれます。
東京都の名所
浅草寺
628年創建と伝わる都内最古の寺。雷門の大ちょうちんが目印
浅草寺の始まりは628年。隅田川で漁をしていた兄弟の網に観音像がかかり、それをまつったのが起こりと伝わります。本尊の聖観世音菩薩は、人前に出されることのない秘仏です。
入口の雷門は、正式には「風雷神門」といい、左右に風神と雷神の像がまつられています。中央の大ちょうちんは高さ3.9m、重さ約700kg。今の門は1960年に再建されたものです。
雷門から本堂へ続く仲見世通りには、和菓子や土産物の店が並びます。宝蔵門や五重塔を眺めながら歩けば、江戸から続く門前町のにぎわいを感じられます。
7月の「ほおずき市」や12月の「羽子板市」など、季節の行事も見どころ。本堂は朝早くから開いているので、人の少ない朝の参拝もおすすめです。
東京スカイツリー
高さ634m。地上350mと450mの展望台から関東平野を一望
東京スカイツリーは、墨田区にある高さ634mの電波塔。2012年5月に開業しました。634という高さは、この地域の旧国名「武蔵(むさし)」にちなんだ数字です。
開業前年の2011年には、世界一高いタワーとしてギネス世界記録に認定されました。地上350mの「天望デッキ」と、さらに上の450mの「天望回廊」の2つの展望台があり、晴れた日には関東平野を遠くまで見渡せます。
浅草寺からは隅田川を渡って歩ける距離にあり、下町散歩と組み合わせやすいのも魅力。夜はライトアップされ、展望台からは東京の夜景を一望できます。
足もとの商業施設には飲食店や土産物の店も多く、雨の日でも楽しめます。展望台は時間帯によって混み合うので、日時指定のチケットを事前に購入しておくと安心です。
高尾山
都心から気軽に行ける標高599mの山。ケーブルカーで中腹へ
高尾山は、八王子市にある標高599mの山。都心から電車で気軽に行けることから、季節を問わず多くの人が訪れます。2007年には、ミシュランの観光ガイドで三つ星に選ばれました。
山の中腹には、744年に開かれたと伝わる高尾山薬王院があります。天狗は薬王院の本尊・飯縄大権現の使いとされ、境内のあちこちで天狗の像を見かけます。
ふもとの清滝駅からはケーブルカーが運行していて、最も急な所は31度18分という急勾配。歩いて登る場合は、ふもとから山頂まで1時間30分ほどです。山頂からは、天気がよければ富士山を望めます。
春の新緑、11月の紅葉、冬至のころの「ダイヤモンド富士」と、季節ごとの楽しみがあります。紅葉の時期の週末は特に混み合うので、早めの時間に出かけるのがおすすめです。
浅草寺と東京スカイツリーは歩いて回れる距離。高尾山へは新宿から京王線で向かえます。旅の締めくくりには、月島でもんじゃ焼きを囲んだり、すし店のカウンターに座ったりして、江戸の味を楽しんでください。家では、佃煮を炊きたてのご飯で味わうのもおすすめです。
江戸から続く下町の文化と、空に伸びるタワー、そして緑の山。東京は、何度訪れても新しい発見がある土地です。