日本海に面し、奥羽山脈に抱かれた秋田県。雪深い冬を越すための知恵から生まれた郷土の味が、今も大切に受け継がれています。
米の収穫量は全国3位。その米や小麦、大根を生かした名産と、名所を3つずつ紹介します。
秋田県の名産
きりたんぽ
焼いたご飯を比内地鶏のだしで煮込む。秋から冬の風物詩
きりたんぽは、つぶした白いご飯を串に巻きつけて焼いた「たんぽ」を切ったもの。秋田県北部が発祥とされています。
比内地鶏のだしに、ごぼうやきのこ、ねぎ、せりなどと一緒に煮込むきりたんぽ鍋は、秋から冬にかけての風物詩。大館市では、新米の季節に家族や友人を招いて「たんぽ会」を開くほど親しまれています。
お取り寄せでは、きりたんぽとスープ、具材がそろったセットもあり、家でも本場の味が楽しめます。
鍋に入れるのは、食べる直前がおすすめ。煮込みすぎると形がくずれやすいので、だしがしみたところで早めに味わいましょう。
稲庭うどん
手延べの平たい細麺。コシとなめらかなのどごしが持ち味
稲庭うどんは、秋田県湯沢市稲庭町で生まれた、手延べ製法の干しうどんです。平たい細麺で、しっかりしたコシとなめらかなのどごしが特徴です。
製法は江戸時代の寛文5年(1665年)に確立したといわれ、長く一子相伝で守られてきました。1972年(昭和47年)に製法が公開され、全国に広まったとされています。
おすすめは、ゆでて冷水でしめたざるうどん。乾麺なので日持ちし、お取り寄せや贈り物にも向いています。
温かいかけうどんにしても、細麺ならではのなめらかさが楽しめます。ゆですぎるとコシが弱くなるので、袋に書かれた時間を目安にしましょう。
いぶりがっこ
燻して乾かした大根の漬物。香ばしさがお酒のお供にぴったり
いぶりがっこは、大根を燻して乾かしてから、米ぬかなどで漬け込んだ秋田の漬物です。
日照時間が短く雪も早い秋田の内陸南部では、大根を外で干せませんでした。そこで室内に吊るし、囲炉裏の熱と煙で乾かす工夫が生まれたといわれます。
今は燻製専用の小屋で4〜5日かけて燻し、冬の寒さの中で2か月以上漬け込みます。香ばしい香りと歯ごたえは、ごはんやお酒のお供にぴったり。刻んでクリームチーズと合わせれば、手軽なおつまみになります。
秋田県の名所
角館の武家屋敷
黒い板塀としだれ桜。武家の町並みが今も残る通り
角館の武家屋敷通りは、黒塗りの板塀が続く町並み。国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。
春は、黒い板塀にしだれ桜が映える季節。例年4月下旬から5月上旬にかけて、町が桜色に包まれます。
秋には紅葉が町並みを彩ります。季節を変えて訪れると、同じ通りでも違う表情に出会えます。
田沢湖
水深423.4mの日本一深い湖。湖畔に立つ金色のたつこ像
田沢湖は、最大深度423.4mで日本一深い湖。周囲は約20kmあります。
西岸に立つ金色の「たつこ像」は、龍になったという辰子姫の伝説をモチーフにしたブロンズ像。1968年に除幕された、田沢湖のシンボルです。
湖畔をドライブしたり、像の近くで湖を眺めたり。ゆったりとした時間が流れる場所です。近くの乳頭温泉郷と組み合わせた旅もおすすめです。
乳頭温泉郷
山あいに点在する7つの一軒宿。湯めぐりでお湯の違いを楽しむ
乳頭温泉郷は、十和田八幡平国立公園の乳頭山のふもとに点在する温泉群です。7軒の一軒宿が、それぞれ違う源泉を引いています。
宿泊する人は「湯めぐり帖」を買うと、各宿のお湯に入れるうえ、湯めぐり用の巡回バスにも乗り放題になります。
つり橋を渡った先にある川辺の宿など、宿ごとに雰囲気もさまざま。いくつものお湯をはしごできるのが、ここならではの楽しみです。
冬は雪に囲まれたお湯も楽しみのひとつ。雪道の運転に慣れていない人は、バスを使うと安心です。
角館と田沢湖は、どちらも秋田新幹線の駅から足をのばせる場所にあります。武家屋敷を歩き、湖を眺め、温泉に泊まる。そんな1泊2日の旅もおすすめです。家で味わうなら、きりたんぽ鍋の締めに稲庭うどんを入れ、いぶりがっこをつまみに一杯。秋田の冬の夜が、食卓に広がります。
新米のきりたんぽ、手延べのうどん、燻した大根。秋田の味には、雪国の暮らしの知恵が詰まっています。