九州の北の玄関口、福岡県。博多の食文化はもちろん、学問の神様をまつる太宰府、水郷の柳川、海峡の港町・門司港と、短い移動で表情の違う町をめぐれるのが魅力です。
おみやげの定番・辛子明太子から、大正の駅舎が残る門司港まで。福岡を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
福岡県の名産
辛子明太子
スケトウダラの卵を唐辛子の調味液で味付け。博多生まれとされる
辛子明太子は、スケトウダラの卵巣を、唐辛子を使った調味液で味付けしたもの。業界の公正競争規約でも、このように定められています。名前は、朝鮮語でスケトウダラを指す「明太(ミョンテ)」から来ています。
戦後、釜山で親しまれていた味をもとに、1949年に博多・中洲で売り出されたのが始まりとされます。作り方を同業者にも広めたことで、福岡市内に作り手が増えていきました。
全国に知られるようになったきっかけは、1975年の山陽新幹線の博多開業。博多みやげの定番として広まりました。パッケージには、原料の卵の原産地と保存方法の表示が義務づけられています。
温かいご飯にのせるのはもちろん、パスタやパン、卵焼きの具にしてもおいしいです。冷凍・冷蔵など保存方法は商品によって違うので、取り寄せたらパッケージの表示に従い、開けたら早めに食べきりましょう。
博多ラーメン
白く濁った豚骨スープに極細麺。硬さを選んで、替え玉で楽しむ
白く濁った豚骨スープと、極細のストレート麺が特徴の博多ラーメン。豚骨ラーメンの発祥は、同じ福岡県の久留米市といわれます。
博多では、1940年に創業した屋台が始まりといわれ、最初は白く濁っていないスープだったそうです。その後、久留米の濁ったスープの作り方や、長浜の細麺・替え玉を取り入れて、今の形になったとされます(諸説あり)。
極細の麺は、市場で働く人にすばやく出すために生まれたといわれ、そこから麺だけをおかわりする「替え玉」が広まりました。麺の硬さは、硬い順に「粉おとし・ハリガネ・バリカタ・カタ・普通・ヤワ・バリヤワ」と選べます。
替え玉は、1玉目を食べ終わる少し前に頼むのがコツ。紅しょうがや辛子高菜、ごまで味を変えながら楽しめます。お取り寄せの麺セットなら、表示のゆで時間を目安に、好みの硬さに仕上げてみましょう。
もつ鍋
牛もつとキャベツ、ニラをたっぷり。しめはちゃんぽん麺か雑炊
もつ鍋は、牛のもつ(小腸など)を、キャベツやニラ、にんにくと一緒に煮込む鍋。戦後、アルミの鍋でもつとニラを炊き、しょうゆで味付けしたのが始まりとされます。
1992年には「もつ鍋」が新語・流行語大賞の銅賞に選ばれ、全国に知られるようになりました。
だしは、しょうゆ・塩・みその3つが定番。煮立ったら中火から弱火に落とし、キャベツがしんなりしたら食べごろです。柚子胡椒を添えると、さっぱりと味わえます。
しめは、ちゃんぽん麺か雑炊が定番。お取り寄せのセットは、もつとスープ、ちゃんぽん麺がそろっているものが多く、野菜を用意するだけで本場の味を楽しめます。
福岡県の名所
太宰府天満宮
菅原道真公をまつる天満宮の総本宮。約200品種6,000本の梅
太宰府天満宮は、学問の神様として知られる菅原道真公をまつる、全国の天満宮の総本宮。受験や合格祈願の参拝者が、一年中訪れます。
境内には約200品種・6,000本の梅があります。御神木の「飛梅」には、道真公を慕って都から一夜で飛んできたという伝説が残ります。梅の見頃は例年1月下旬から3月上旬で、飛梅は1月中旬ごろから咲き始めます(年によって変わります)。
重要文化財の御本殿は、2023年5月から約3年をかけて、124年ぶりの大改修が行われました。檜皮の屋根をふき替え、漆や彩色も塗り直されて、2026年5月に改修後の姿が公開されています。2027年には、道真公の没後1125年の式年大祭が予定されています。
梅の時期や受験シーズン、正月は大変混み合うので、早めの時間に出かけるのがおすすめです。
柳川の川下り
どんこ舟で掘割をめぐる約1時間。冬はこたつ舟になる
柳川は、町じゅうに掘割(水路)がめぐる水郷の町。矢部川から水を引いて掘られた掘割は、総延長が約930kmにもなります。
川下りは、船頭さんが竿一本で操る「どんこ舟」に乗って、約4kmを1時間ほどかけてめぐります。柳の並木や石垣、低い橋をくぐりながら、ゆったりと町並みを眺められます。
冬(12〜2月)は、舟にこたつを置いた「こたつ舟」になります。夏の夜の灯り舟(予約制)や、11月の白秋祭水上パレードなど、季節の行事もあります。2月中旬からの約10日間は、掘割の水を抜く「水落ち」のため短いコースになります。
川下りのあとは、柳川名物のうなぎのせいろ蒸しを。うなぎのせいろ蒸しは、文化庁の「100年フード」にも選ばれています。季節の運航内容は、出かける前に確認しておきましょう。
門司港レトロ
大正の駅舎や洋館が並ぶ港町。関門海峡の眺めと焼きカレーも
門司港は、明治から大正にかけて、大陸との貿易港として栄えた港町。当時の建物が残る一帯は「門司港レトロ」として整備され、散策を楽しめます。
シンボルは、1914年(大正3年)に建てられた門司港駅。1988年に、鉄道の駅として初めて国の重要文化財に指定されました。約6年の保存修理を経て、2019年3月に創建時の姿でよみがえっています。
まわりには、旧門司税関(1912年)、旧大阪商船(1917年)、旧門司三井倶楽部(1921年)などの洋館が並びます。2017年には、下関とともに日本遺産「関門ノスタルジック海峡」に認定されました。
跳ね橋の「ブルーウィングもじ」が開く様子や、関門海峡を行き交う船も見どころです。門司港発祥のご当地グルメ「焼きカレー」も味わってみましょう。
博多駅を起点に、太宰府や柳川へは西鉄で、門司港へはJRで向かえます。家で福岡を味わうなら、明太子をのせたご飯と、もつ鍋のセットを取り寄せて、しめのちゃんぽん麺まで楽しむのがおすすめです。
屋台の湯気、梅の香る境内、水郷の舟、港の洋館。福岡は、食べて歩いて、何度でも訪れたくなる土地です。