九州の西の端にあり、たくさんの島と長い海岸線をもつ長崎県。江戸時代には、海外との窓口として、さまざまな国の文化が入ってきました。その歴史は、料理にも町並みにも残っています。
中国の影響を受けたちゃんぽんから、世界遺産の教会や島まで。長崎を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
長崎県の名産
長崎ちゃんぽん
野菜と魚介をたっぷり。スープで麺を煮込む、長崎生まれの麺料理
長崎ちゃんぽんは、豚肉やキャベツ、もやし、魚介などをたっぷり炒め、スープで麺を一緒に煮込む料理。明治時代に、長崎に来ていた中国からの留学生に、安くて栄養のある食事を出そうと考えられたのが始まりとされます(時期は資料によって明治30年ごろ、明治32年など諸説あり)。
名前の由来にも諸説があり、中国・福建の言葉でご飯を食べることを表す「吃飯(セッポン)」からという説などがあります。
麺には、かん水の一種「唐灰汁(とうあく)」を使うのが特徴。鶏ガラや豚骨のスープを麺がしっかり吸って、まろやかな味わいになります。同じ具を、揚げた細麺や太麺にあんでかける「皿うどん」は、ちゃんぽんから生まれた料理です。
お取り寄せの麺とスープのセットなら、家にある野菜や魚介を加えて、鍋ひとつで作れます。九州では、ソースをかけて味を変えて食べることもあります。
カステラ
南蛮貿易の時代に伝わったとされる、しっとり甘い焼き菓子
カステラは、16世紀の南蛮貿易の時代に、ポルトガルから伝わったとされる焼き菓子。伝わった時期や場所には諸説があります。名前は、ポルトガル語で「カスティーリャ(スペインの地方)のパン」を意味する言葉からという説があります。
長崎では、江戸時代の寛永年間(1624〜1644年)の初めごろから作られたといわれます。
主な材料は、小麦粉、卵、砂糖。水あめなどを加えて長方形の型で焼き、膨らませる薬(膨張剤)は使わないのが特徴です。卵の力だけで、きめ細かくふっくらと焼き上げます。
厚めに切って、緑茶や紅茶、牛乳と合わせるのがおすすめ。保存方法や賞味期限は商品によって違うので、取り寄せたら表示を確認しましょう。
びわ
収穫量全国1位。初夏だけのやさしい甘さと、みずみずしさ
長崎県は、びわの収穫量が全国1位(農林水産省の資料、2024年)。収穫量は697tで、全国の約32%を占めます。長崎半島を中心に、江戸時代から育てられてきました。
代表品種の「茂木」は、天保年間(1830〜1844年)に中国の船で長崎に運ばれた種から生まれたといわれます。今は、茂木や長崎早生、なつたよりなどを合わせて「長崎びわ」と呼んでいます。
露地ものの出荷は5月中旬ごろから本格的に始まり、5月下旬から6月上旬がピーク。旬がとても短い、初夏だけのくだものです。
びわは日持ちしないので、届いたら早めに食べましょう。保存するなら冷蔵庫で短い期間に。冷やしすぎると甘みを感じにくくなるので、食べる少し前に冷やす程度がおすすめです。
長崎県の名所
大浦天主堂
現存する日本最古の教会とされる国宝。信徒発見の舞台
大浦天主堂は、1864年に建てられた教会で、現存する教会としては日本最古とされます。1933年に国宝に指定されました。
完成の翌年1865年、浦上の人々がここを訪れ、神父にキリスト教の信仰を打ち明けた「信徒発見」が起こりました。禁教の時代を信仰を守って生きた人々の歴史を伝える場所として、2018年に世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産になっています。
1945年の原爆で大きな被害を受けましたが、1952年に修復されて今の姿になりました。
今も祈りの場なので、堂内は撮影禁止です。帽子をとって、静かに見学しましょう。近くのグラバー園とあわせて、坂の町歩きを楽しめます。
軍艦島(端島)
炭坑で栄えた世界遺産の島。上陸は指定のツアーだけ
軍艦島は、長崎港の沖にある端島の通称。海底炭坑で栄え、島をおおう高い建物が軍艦のように見えることから、この名で呼ばれるようになりました。2015年に、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として登録されています。
1916年に建てられた30号棟は、日本で最初の鉄筋コンクリート造の高層アパートといわれます。島の人口は1960年に約5,300人でピークを迎え、閉山後の1974年に無人島になりました。
上陸できるのは、決められた上陸ツアーに参加したときだけで、見学施設の外には入れません。波や風などの条件がそろわないと、桟橋に着けず上陸できないことがあります。
ツアーは長崎港から出航し、全体で2時間半から3時間ほど。予約は各船会社で行います。雨風の当たる船の上は冷えることもあるので、羽織るものを持っていくと安心です。
稲佐山
標高333mの山頂から、世界新三大夜景の長崎の街を一望
稲佐山は、長崎市街の西にそびえる標高333mの山。山頂の展望台からは、すり鉢状の地形に沿って広がる長崎の街と港を、360度見渡せます。
長崎の夜景は「世界新三大夜景」に認定されていて、2021年に再認定されました。「日本新三大夜景」にも、2024年まで4回続けて選ばれています。
山頂へは、ふもとの淵神社駅からロープウェイで約5分。中腹の駐車場からは、スロープカーも出ています。展望台の見学は無料です。
夜景を見るなら、日没の少し前に上って、空の色が変わっていく様子を楽しむのがおすすめ。週末や連休の夜は車の乗り入れに制限があるので、公共交通を使うと安心です。
長崎駅を起点に、大浦天主堂へは路面電車で、稲佐山へはバスとロープウェイで向かえます。軍艦島は長崎港から。家で長崎を味わうなら、ちゃんぽんのセットを取り寄せ、食後にカステラを、初夏にはびわを楽しむのがおすすめです。
異国の文化と祈りの歴史、そして坂の街の夜景。長崎は、知るほどに深く味わいたくなる土地です。