九州の南の端にあり、たくさんの島々が南へ連なる鹿児島県。桜島をはじめとする火山がつくった大地は、さつまいもやお茶を育て、黒豚や黒牛の畜産も盛んです。農業産出額は全国2位(農林水産省の資料、2024年)です。
黒豚と日本一のお茶から、世界自然遺産の屋久島まで。鹿児島を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
鹿児島県の名産
かごしま黒豚
さつまいも入りの餌で育つ黒豚。歯切れがよく、甘い脂
鹿児島県は、豚の飼養頭数が全国1位(農林水産省の資料、2024年)。なかでも「かごしま黒豚」は、鹿児島で生まれ育ったバークシャー種の豚に、育てる期間の後半、さつまいもを含む餌を60日以上与えて育てたものです。
鹿児島の黒豚は、約400年前に琉球から伝わったといわれ、明治時代にイギリスのバークシャー種と交配して改良されました。昭和30年代には東京で評判になり、日本で最初の豚肉のブランドとされます。
肉は筋繊維が細かく、歯切れがよくてやわらか。さつまいもを含む餌で育つため、脂がさっぱりとして甘みがあるといわれます。
しゃぶしゃぶやとんかつはもちろん、焼酎や黒砂糖、みそで骨付き肉を煮込む郷土料理「豚骨」もおすすめ。お取り寄せでは、しゃぶしゃぶ用やとんかつ用など、料理に合わせて選びましょう。
鹿児島茶
荒茶の生産量が2年連続で全国1位。春は走り新茶が名物
鹿児島県は、2024年産・2025年産の荒茶の生産量で、統計を取り始めてから初めて全国1位になりました(農林水産省の資料)。2025年産は3万tで、全国の約4割を占めます。
主な産地は、南九州市や志布志市、霧島市など。品種は、やぶきた、ゆたかみどり、さえみどりなどが多く育てられています。温暖な気候を生かして、日本一早く新茶がとれる産地といわれ、3月末から始まる新茶は「走り新茶」と呼ばれます。
鹿児島では、蒸し時間をふつうの2〜3倍にした「深蒸し茶」も作られています。じっくり蒸すことで、まろやかな味わいになるといわれます。
少し冷ましたお湯でいれると、うまみが引き立ちます。夏は水出しにするのもおすすめ。開けた茶葉は、密閉して冷暗所に保存し、早めに飲みきりましょう。
つけあげ(さつま揚げ)
魚のすり身に地酒を加えて揚げる、ほんのり甘い郷土の味
鹿児島では、さつま揚げのことを「つけあげ」と呼びます。アジやサバ、トビウオなどのすり身に豆腐と地酒を加え、砂糖で甘めに味付けして揚げる、鹿児島の郷土料理です。
始まりには諸説があり、島津斉彬の時代に生まれたという説や、琉球の揚げ物「チキアーギ」がルーツという説が伝わります。
味の決め手は、鹿児島の地酒「灰持酒(あくもちざけ)」。火入れをしないためうまみ成分が多く残り、つけあげに独特の甘みとコクを与えます。
そのまま食べるのはもちろん、軽くあぶってしょうがじょうゆで、煮しめやおでん、野菜炒めの具にもなります。取り寄せたら、表示の保存方法と期限を確認しましょう。
鹿児島県の名所
桜島
錦江湾に浮かぶ活火山。フェリーで約15分の身近な絶景
桜島は、鹿児島市の目の前、錦江湾に浮かぶ活火山。今も噴火を繰り返していて、鹿児島の人々の暮らしとともにある山です。霧島錦江湾国立公園の一部で、日本ジオパークにも認定されています。
もとは島でしたが、1914年1月に始まった大正噴火で流れ出た溶岩が海峡をふさぎ、大隅半島と陸続きになりました。この噴火では58人が亡くなっています。
鹿児島港からはフェリーで約15分。24時間運航しているので、気軽に渡れます。北岳の4合目にある湯之平展望所(標高373m)からは、迫力ある山肌と錦江湾、鹿児島の街を一望できます。
2026年10月12日の気象庁の発表では、噴火警戒レベル3(入山規制)が続いていて、南岳山頂火口と昭和火口からおおむね2kmの範囲は立ち入りが規制されています。風下では降灰にも注意が必要。出かける前に、気象庁の火山情報を確認しましょう。
屋久島
日本初の世界自然遺産。樹齢千年を超える屋久杉の森
屋久島は、鹿児島県の南の海に浮かぶ島。1993年に、白神山地とともに日本で初めて世界自然遺産に登録されました。島の約2割が登録地域です。
島には、樹齢1,000年を超える「屋久杉」が育つ森が広がり、屋久島スギ原始林は国の特別天然記念物に指定されています。苔むした森や、海岸から高い山までの植物の移り変わりも見どころです。
縄文杉までは、荒川登山口から往復22km、9〜10時間かかる本格的な登山です。朝は早い時間に出発する必要があり、3月1日から11月30日までは自家用車で登山口へ行けず、登山バスに乗り換えます。山に入るときは、山岳部環境保全協力金の協力が求められます。
2012年には、屋久島国立公園として単独の国立公園になりました。雨の多い島なので、雨具を忘れずに。登山の計画は、環境省の情報で確認してから立てましょう。
指宿温泉の砂むし
温泉の熱で温まった砂に浴衣のまま埋まる、名物の砂むし
指宿温泉は、薩摩半島の南端にある温泉地。名物の「砂むし」は、浴衣を着たまま、温泉の熱で温まった砂に体を埋めてもらう入浴法です。
地下を流れる高温の温泉が、海辺の砂の中を通って湧き出すため、砂浜そのものが温かくなっています。砂の温度は50〜55℃ほどといわれます。
砂をかけてもらったら、10分ほどが目安。体の芯までじんわり温まり、汗が流れ出てきます。砂から出たら、温泉で砂を流してさっぱりしましょう。
海を眺めながら砂に埋まる体験は、ここならでは。潮の満ち引きや天候で、砂むしの場所や営業が変わることもあるので、出かける前に確認しておきましょう。
鹿児島中央駅を起点に、桜島へは鹿児島港からフェリーで、指宿へはJR指宿枕崎線で、屋久島へは高速船や飛行機で向かえます。家で鹿児島を味わうなら、黒豚のしゃぶしゃぶに、つけあげと、鹿児島茶を添えるのがおすすめです。
火山の恵みと、南の島の森。鹿児島は、大地の力を感じに出かけたくなる土地です。