福岡県と長崎県にはさまれた佐賀県。南は干満差の大きい有明海、北は玄界灘に面し、海の幸に恵まれています。日本で初めて磁器が焼かれた有田など、ものづくりの歴史も深い土地です。
有明海で育つ海苔から、弥生時代のムラを再現した吉野ヶ里まで。佐賀を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
佐賀県の名産
佐賀のり
干満差の大きい有明海で育つ、やわらかく香りのよい海苔
佐賀県は、海苔(くろのり)の収穫量が全国2位(農林水産省の資料、2024年)。2026年7月の佐賀県の資料によると、今シーズンは販売枚数・販売金額ともに、4年ぶりの日本一になりました。
育つのは、潮の満ち引きの差が最大約6mにもなる有明海。海に立てた支柱の間に網を張る「支柱式」で育て、潮が引くと網が海面から出て日に当たります。これが、やわらかく香りのよい海苔を生むといわれます。
収穫は11月から3月ごろ。最初に摘む「一番摘み」がいちばんやわらかく、その中から厳しい基準で選ばれたものは「佐賀海苔 有明海一番」として出荷されます。佐賀海苔全体の1%にも満たない希少品です。
おにぎりや手巻き寿司はもちろん、軽くあぶってしょうゆをつけるだけでもごちそうに。開けたら乾燥剤と一緒に密閉し、湿気の少ない冷暗所に保存して、早めに食べきりましょう。
呼子のいか
透きとおるいかの活き造り。食べ終えたゲソは天ぷらや塩焼きに
玄界灘に面した唐津市呼子町は、いかの町として知られています。名物は、いけすからすくったばかりのいかを手早くさばいた「活き造り」。身が透きとおり、こりこりとした歯ごたえと甘みが楽しめます。
季節によって旬のいかが入れ替わるのが呼子の特徴。地元でヤリイカと呼ばれるケンサキイカは4月中旬から10月中旬ごろ、ミズイカと呼ばれるアオリイカは10月中旬から4月中旬ごろが旬といわれます。
活き造りを出す店では、刺身を食べ終えたあと、残ったゲソ(足)を天ぷらや塩焼きにしてくれることが多く、ひと皿で二度おいしく味わえます。
おみやげには、いかの身を使ったシュウマイも人気です。呼子へは、唐津の大手口バスセンターから昭和バスで約30分です。本数が限られるので、時刻表を確認してから出かけましょう。
佐賀牛
等級やサシの基準をクリアした黒毛和牛。きめ細かな霜降り
佐賀牛は、JAグループ佐賀の管内で育てられた黒毛和種のうち、肉質等級が5等級か4等級で、霜降りの度合いを表すBMSが7以上のものだけが名乗れるブランド牛です。
佐賀県の肉用牛の産出額は188億円で全国11位(農林水産省の資料、2024年)。県内の各地で、生産者が手間をかけて育てています。
特徴は、きめ細かく入ったサシ(霜降り)と、とろけるようなやわらかさ。すき焼きやしゃぶしゃぶ、ステーキなど、肉そのものの味を楽しめる料理がよく合います。
お取り寄せやふるさと納税では、部位や用途を選べることが多いので、すき焼き用、焼き肉用など、食べ方に合わせて選びましょう。冷凍で届いたら、冷蔵庫でゆっくり解凍するのがおいしく食べるコツです。
佐賀県の名所
吉野ヶ里遺跡
弥生時代の大きな環濠集落。物見櫓など98棟の建物を復元
吉野ヶ里遺跡は、弥生時代の大きな環濠集落(まわりを堀で囲んだムラ)の跡。南北約1km、東西約600m、広さは約40haにおよび、弥生時代の前期から後期までの移り変わりがわかる貴重な遺跡です。1991年に国の特別史跡に指定されました。
一帯は吉野ヶ里歴史公園として整備され、物見櫓や大きな祭殿、高床の倉など、98棟の建物が復元されています。高さ10mを超える物見櫓に上ると、ムラ全体を見渡せます。主祭殿は16本の柱で支えられた大きな建物です。
近年も発掘が続いていて、2023年には、線刻のある石の蓋をもつ石棺墓が見つかり、話題になりました。
公園はとても広いので、歩きやすい靴で出かけましょう。開園時間は変わることがあるので、公式サイトで確認しておくと安心です。
有田
日本の磁器発祥の地。窯元の町並みと春の有田陶器市
有田町は、日本で初めて磁器が焼かれた町。17世紀のはじめ、朝鮮半島から渡ってきた陶工・李参平らが泉山で陶石を見つけ、磁器を焼いたのが始まりと伝わります。
窯元や商家が並ぶ内山地区は、約2kmにわたって町並みが続き、1991年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。洋館の旧田代家西洋館は、国の重要文化財です。
陶石を掘った泉山磁石場跡は国の史跡に含まれ、有田を含む肥前の焼きもの文化は、日本遺産「日本磁器のふるさと 肥前」にも認定されています。
毎年ゴールデンウィークの有田陶器市には、町なかに約400の店が並び、100万人を超える人でにぎわいます。日程は例年4月29日から5月5日ですが、出かける前に確認しておきましょう。
嬉野温泉
長崎街道の宿場町に湧く、とろりとした湯。名物は温泉湯どうふ
嬉野温泉は、1300年以上の歴史をもつといわれる温泉地。神功皇后がこの地の湯を見て「うれしいの」と言ったことが、地名の由来という伝説があります。江戸時代には、長崎街道の宿場町としてにぎわいました。
湯は弱アルカリ性で、肌をなめらかにするような、とろりとした湯ざわり。町には、江戸時代に長崎を訪れたシーボルトにちなむ公衆浴場「シーボルトの湯」もあります。泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉などです。
名物は、温泉の湯で豆腐を煮る「温泉湯どうふ」。豆腐がとろけるようにやわらかくなり、汁ごと味わいます。文化庁の「100年フード」にも選ばれています。
2022年に西九州新幹線が開業し、嬉野温泉駅ができて訪れやすくなりました。湯どうふ用の豆腐は、おみやげや取り寄せでも手に入ります。
吉野ヶ里へはJR長崎本線で、有田へはJR佐世保線で、嬉野へは西九州新幹線で向かえます。家で佐賀を味わうなら、有明海の海苔でおにぎりを握り、佐賀牛をすき焼きにする、そんな食卓もおすすめです。
海の恵みと、弥生の記憶と、焼きものの里。佐賀は、ゆっくり歩いて味わいたくなる土地です。