本州のほぼ中央にある、海のない岐阜県。北の飛騨地方には山々と古い町並みが、南の美濃地方には清流と平野が広がっています。
県のブランド牛・飛騨牛から、世界遺産の白川郷まで。岐阜を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
岐阜県の名産
飛騨牛
県内統一のブランド牛。肉質の基準を満たした黒毛和種だけの名前
飛騨牛は、岐阜県内で統一されたブランド牛。2023年には、国の地理的表示(GI)に登録されました。
名乗れるのは、登録された農家で14か月以上育てられ、いちばん長く育った場所が岐阜県である黒毛和種のうち、肉質が5・4・3等級のものだけ。厳しい基準が品質を支えています。
1981年に兵庫県から迎えた種牛「安福号」は、「飛騨牛の父」と呼ばれています。1988年に銘柄推進協議会ができ、県の統一銘柄として育てられてきました。
ステーキやすき焼きのほか、飛騨地方では、朴葉みその上で焼いて味わう食べ方もあります。お取り寄せの肉は、冷蔵庫でゆっくり解凍してから焼くと、うまみが逃げにくくなります。
栗きんとん
蒸した栗を砂糖と炊き、茶巾でしぼった秋の和菓子
岐阜の栗きんとんは、蒸した栗を砂糖と一緒に炊き上げ、布巾で栗の形にしぼった和菓子。おせち料理の「栗きんとん」とは別のものです。
発祥の地とされるのは、中山道の宿場町だった中津川市。茶の湯がさかんだった土地で、茶菓子として生まれたと伝えられています。八百津町にも発祥の説があります。
店頭に並ぶのは、新栗が出回る9月上旬から12月上旬ごろまで。9月9日の「栗の節句」に栗のお菓子を食べる習わしもあります。2019年には「中津川栗きんとん」が地域団体商標に登録されました。
栗そのものの風味を生かした、素朴でほっくりとした味わいが魅力。日持ちは商品の表示を確かめて、届いたら早めに味わいましょう。
朴葉みそ
朴の葉に味噌やねぎをのせ、焼きながら食べる飛騨の郷土料理
朴葉みそは、枯れた朴の葉の上に、味噌とねぎ、しいたけなどをのせ、火にかけて焼きながら食べる、飛騨・高山地方の郷土料理です。
山で働く人が、朴の葉を皿の代わりに使ったのが始まりとされ、囲炉裏で温めて食べたと伝わります(諸説あり)。使うのは、秋に落ちた茶色い朴の葉です。
焦げた味噌と朴の葉の香ばしい香りが、ご飯によく合います。飛騨牛をのせて焼けば、ぜいたくなごちそうになります。
昭和40年代におみやげとして売られ始め、今では家庭用のセットも手に入ります。ホットプレートやフライパンでも焼けるので、家で手軽に楽しめます。
岐阜県の名所
白川郷
100棟あまりの合掌造りが残る山里。今も人が暮らす世界遺産
白川郷は、白川村の荻町地区にある合掌造りの集落。大小100棟あまりの合掌造りの家が残り、1995年に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されました。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれています。
合掌造りは、手を合わせたような形の、急な茅葺き屋根が特徴。今も人々が家に住み、暮らしを営んでいます。
雪景色の中で行われる冬のライトアップは、完全事前予約制で、年に数回だけ。予約がないと見学も駐車もできないので注意しましょう。
混み合う日には、駐車場の入口まで2時間以上の渋滞になることもあります。混雑予想カレンダーを確かめ、住む人の暮らしに配慮して見学しましょう。
飛騨高山の古い町並み
出格子の商家や造り酒屋が並ぶ、江戸時代の城下町の面影
高山市の中心部には、江戸時代の城下町・商人町の面影を残す町並みが続きます。「三町」と「下二之町大新町」の2つの地区が、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。
格子が連なる商家の建物や、軒先に杉玉を下げた造り酒屋が見どころ。土産物や食べ歩きの店も並び、そぞろ歩きが楽しめます。
春と秋には、豪華な屋台が町を巡る高山祭が開かれます。祭りの時期は宿が取りにくくなるので、早めに予約しましょう。
店の多くは朝9時ごろから夕方6時ごろまでの営業。火曜や水曜が定休日の店も多いので、出かける曜日にも気をつけましょう。
下呂温泉
有馬・草津と並ぶ「日本三名泉」。とろりとしたアルカリ性の湯
下呂温泉は、飛騨川沿いに広がる温泉地。江戸時代の学者・林羅山が、有馬、草津と並べてすぐれた温泉として挙げたことなどから、「日本三名泉」のひとつとされています。
泉質はアルカリ性単純温泉で、pH9.2。肌あたりのやわらかい湯として親しまれています。
温泉が見つかった時期には諸説あり、一度湯が止まったあと、飛騨川の河原にわく湯を一羽の白鷺が教えてくれたという「白鷺伝説」も伝わっています。
加盟する旅館のお風呂から3か所を選んで入れる「湯めぐり手形」があり、温泉街には無料の足湯も点在しています。浴衣で湯めぐりを楽しむのがおすすめです。
白川郷と飛騨高山はバスで行き来でき、下呂温泉は高山と名古屋を結ぶJR高山本線の途中にあります。高山から白川郷へ足をのばし、帰りに下呂温泉で1泊する旅もおすすめです。家で岐阜を味わうなら、秋に栗きんとんを取り寄せ、朴葉みそで飛騨牛を焼けば、飛騨の味がそろいます。
雪深い山里の合掌造り、城下町の町並み、そして名湯。岐阜は、日本の原風景に出会いに出かけたくなる土地です。