富士山と南アルプスに囲まれた、海のない山梨県。甲府盆地を中心に、ぶどうやももなどの果物づくりがさかんです。
収穫量全国1位のぶどうとももから、富士山のふもとに広がる富士五湖まで。山梨を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
山梨県の名産
ぶどう
収穫量全国1位。甲州やシャインマスカットなど品種も豊富
山梨県はぶどうの収穫量が全国1位(農林水産省の資料、2024年産)で、全国の約3割を占めます。栽培の歴史は、約1,300年前からとも、約800年前からともいわれています。
江戸時代の書物にも甲州のぶどうが第一と記されるほどの名産地。山梨市、笛吹市、甲州市の峡東地域で受け継がれてきた果樹栽培は、2022年に世界農業遺産に認定されました。
収穫は7月中旬のデラウェアに始まり、巨峰、シャインマスカット、そして山梨に古くから伝わる品種「甲州」へと、10月下旬ごろまで続きます。甲州は、種ごと飲み込むのが地元流の食べ方といわれます。
ぶどうは日持ちしにくい果物です。ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食べましょう。房の根元側ほど甘いので、下から食べ進めると、だんだん甘さが増していきます。
もも
収穫量全国1位。日川白鳳から白桃まで、品種をつないで夏に
山梨県はももの収穫量も全国1位(農林水産省の資料、2024年産)で、全国の約3割を占めます。1966年に、生産量で日本一になりました。
江戸時代には、甲州の名高い果物「甲州八珍果」のひとつとして江戸に献上されていました。昭和30年代に桑畑が果樹園に変わり、ももの栽培が大きく広がりました。
収穫は、6月下旬からの「日川白鳳」に始まり、県内で最も多く作られている「白鳳」、8月の「川中島白桃」へと続きます。1つの品種を収穫できるのは1週間ほどと短く、旬の時期は限られています。
届いたももがかたいときは、常温に置いて追熟させます。食べ頃になったら、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、1週間以内に食べきりましょう。
ほうとう
平たい太麺を、かぼちゃなどの野菜と味噌仕立てで煮込む郷土料理
ほうとうは、小麦粉で作った平たく太い麺を、かぼちゃなどの野菜と一緒に、味噌仕立ての汁で煮込んだ料理。山梨県全域で親しまれてきた郷土料理です。
麺には塩をほとんど使わないため、ゆでずに生のまま煮込めます。麺についた粉が溶け出して、汁にとろみがつくのが特徴です。
武田信玄の陣中食だったという説もありますが、文献に多く登場するのは江戸時代以降。山がちで稲作に向かない土地で、米の代わりの主食として根付いたといわれます。「うまいもんだよ かぼちゃのほうとう」という言い回しも残っています。
お取り寄せでは、生麺や乾麺、スープ付きのセットが手に入ります。かぼちゃが煮くずれるくらいまで煮込むと、甘みが汁に溶け込みます。
山梨県の名所
富士五湖
富士山のふもとに並ぶ5つの湖。湖面に映る「逆さ富士」が見事
富士五湖は、富士山の北のふもとに並ぶ山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖の5つの湖。どれも世界文化遺産「富士山」の構成資産になっています。
風のない日には、湖面に富士山が映る「逆さ富士」が見られます。本栖湖から見た富士山は、紙幣の図柄にも使われてきました。
五湖のなかで最も長い湖岸線をもつ河口湖は、観光の拠点。湖畔では、春の桜、初夏のラベンダー、秋のもみじと、季節ごとの景色が楽しめます。
山の天気は変わりやすく、富士山が雲に隠れる日もあります。天気予報を確かめながら、時間に余裕をもって計画を立てましょう。
昇仙峡
花こう岩の断崖と奇岩が続く渓谷。国の特別名勝に指定
昇仙峡は、甲府市の北にある渓谷。正式には「御岳昇仙峡」といい、国の特別名勝に指定されています。
花こう岩が長い年月をかけて削られてできた、断崖や奇岩が続く景色が見どころ。そびえ立つ岩峰「覚円峰」、勢いよく流れ落ちる「仙娥滝」、岩が門のように重なる「石門」などが代表的です。
紅葉の見頃は10月中旬から11月下旬。新緑の季節の仙娥滝もおすすめです。
渓谷沿いには遊歩道が整備されています。歩く距離が長くなるので、歩きやすい靴で出かけましょう。
忍野八海
富士山の雪どけ水がわき出る8つの池。透き通った水の青さが魅力
忍野八海は、忍野村にある8つの湧き水の池。富士山に降った雪や雨が、長い年月をかけて地中でろ過され、わき出しているといわれます。世界文化遺産「富士山」の構成資産で、国の天然記念物にも指定されています。
それぞれの池には八大竜王がまつられ、かつて富士山に登る人々が、この水で身を清めたと伝わります。
池をのぞき込むと、底まで見通せるほどの透明度。水草がゆれる澄んだ池と、富士山を一緒に眺められる景色が魅力です。
池の水はそのまま飲むことはできません。8つの池のうち底抜池は資料館の敷地内にあり、見学は有料です。
富士五湖と忍野八海は富士山のふもとで近く、組み合わせて回れます。昇仙峡へは甲府駅からバスで。家で山梨を味わうなら、夏にももとぶどうを取り寄せ、寒い季節にはほうとうを煮込んで、山梨の季節を楽しむのもおすすめです。
実りの甲府盆地と、富士山の水と湖。山梨は、季節ごとに果物と景色を味わいに出かけたくなる土地です。