紀伊半島の西から南に広がり、海と山に囲まれた和歌山県。温暖な気候を生かした果物づくりがさかんで、高野山や熊野などの祈りの地も抱えています。
収穫量全国1位の梅とみかんから、世界遺産の高野山まで。和歌山を代表する名産と名所を3つずつ紹介します。
和歌山県の名産
梅干し
収穫量全国1位の紀州の梅。皮がやわらかく肉厚な南高梅が代表
和歌山県は梅の収穫量が全国1位で、全国の約6割を占めます(農林水産省の資料、2024年産)。みなべ町と田辺市を中心に栽培されています。
代表品種の「南高梅」は、みなべ町で生まれた品種。昭和の調査で優れた梅の木を選び抜き、調査に関わった地元の南部高校(通称「南高」)にちなんで名付けられました。皮がやわらかく、果肉が厚いのが特徴です。
山の斜面に梅林を広げ、山の上の方には薪や炭をとる林を残し、ミツバチが受粉を助ける。この「みなべ・田辺の梅システム」は、2015年に世界農業遺産に認定されています。
梅干し用の梅は、6月ごろ完熟して自然に落ちた実を集め、塩で1か月以上漬けたあと、3〜4日ほど天日に干して作ります。塩だけで漬けた白干しや、はちみつなどで味付けしたものがあり、保存方法は種類によって違うので、表示を確かめましょう。
みかん
収穫量全国1位。石積みの段々畑で育つ有田みかんが有名
和歌山県はみかんの収穫量が全国1位(農林水産省の資料、2024年産)で、21年連続の日本一です。なかでも有田地域のみかんはよく知られ、「有田みかん」は地域団体商標に登録されています。
有田・下津地域では、400年以上前から山の斜面に石を積んだ段々畑をつくり、みかんを育ててきました。この「石積み階段園みかんシステム」は、2025年に世界農業遺産に認定されています。
9月ごろの極早生から始まり、早生、中生と品種がリレーし、12月ごろまで出荷されます。貯蔵して味をなじませた「蔵出しみかん」は、1月から3月ごろに出回ります。
選ぶときは、皮の色が濃く、へたの切り口が小さいものがおすすめ。箱で届いたら、傷んだものをすぐに取り除き、風通しのよい涼しい場所で保存しましょう。
生まぐろ
冷凍せずに水揚げする勝浦漁港の生まぐろ。冬から春はびんちょうが旬
那智勝浦町の紀州勝浦漁港は、全国有数の生まぐろの水揚げ基地。近海のはえ縄漁でとれたまぐろが、冷凍されずに、冷たい水で冷やした生の状態で水揚げされます。
はえ縄漁は、まぐろを1匹ずつ釣り上げてすぐに締めるため、身の傷みが少ないといわれます。水揚げの約6割は、びんちょうまぐろです。
冬から春にかけて紀伊半島沖を回遊するびんちょうまぐろは、「春を告げるまぐろ」とも呼ばれます。漁港では朝7時ごろからせりが行われ、見学することもできます。
一度も凍らせていない生まぐろならではの、なめらかな食感が魅力とされます。港のまわりには、まぐろ料理を出す店が集まっています。
和歌山県の名所
高野山
空海が開いた真言密教の聖地。117の寺が集まる山上の宗教都市
高野山は、標高800mを超える山の上に広がる、真言密教の聖地。816年に空海(弘法大師)が開き、今も117の寺が集まっています。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されました。
空海が今も祈りを続けているとされる奥之院へは、一の橋から約2kmの参道が続き、20万基を超える墓石や供養塔が、杉の大木の間に並んでいます。
町の中心には、高野山真言宗の総本山・金剛峯寺や、朱色の根本大塔がそびえる壇上伽藍があります。
高野山には、泊まれるお寺「宿坊」が51あり、精進料理や朝のお勤めを体験できます。山の上は平地より気温が低いので、季節を問わず上着を持っていきましょう。
那智の滝
落差133mを一気に流れ落ちる名瀑。熊野那智大社の別宮の御神体
那智の滝は、那智勝浦町の那智山にかかる滝。幅13mの滝口から133mの高さを一気に流れ落ち、国の名勝に指定されています。2004年には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部になりました。
古くから滝そのものが神様とされ、熊野那智大社の別宮・飛瀧神社にまつられています。
近くには、熊野三山のひとつ・熊野那智大社と、西国三十三所の第一番札所・青岸渡寺が並びます。青岸渡寺の三重塔と那智の滝を一緒に眺める景色は、那智を代表する風景です。
杉並木の石畳の道「大門坂」は、約600mにわたって267段の石段が続く古道です。歩きやすい靴で、ゆっくり登って参拝しましょう。
白浜
真っ白な砂浜の白良浜と、古くからの名湯がそろう海辺の温泉地
白浜は、紀伊半島の南西部にある温泉地。白浜温泉は『日本書紀』にも登場する古い温泉で、道後温泉、有馬温泉と並ぶ「日本三古湯」のひとつといわれます。
町のシンボルは、白い砂浜が600mあまり続く白良浜。毎年、本州でいちばん早い時期に海開きが行われ、ハワイのワイキキビーチとは友好姉妹浜です。
沖に浮かぶ円月島は、島の真ん中に穴があいた小さな島。春分と秋分のころには、穴の中に夕日が沈む姿が見られます。
海辺には、海を眺めながら入れる露天風呂もあります。海水浴の期間は年によって変わるので、出かける前に確認しましょう。
高野山へは大阪から南海電車で、那智の滝と白浜へは、JRの特急で紀伊半島を南へ向かえます。家で和歌山を味わうなら、冬にみかん、梅の季節のあとには新しい梅干しを取り寄せて、果物の里の味を楽しんでみてください。
山の上の祈りの町と、熊野の滝、南国の海。和歌山は、心を整えに出かけたくなる土地です。